食道疾患 食道疾患
- 胃食道逆流症(GERD)
- 食道潰瘍
- 食道静脈瘤
- 食道癌
- 食道アカラシア
- 食道裂孔ヘルニア
- 食道異物
食道癌の早期診断には、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて行われますが、特にズーム機能を搭載した拡大内視鏡と内視鏡の光を従来の白色光から特殊な光に換えて観察することができるNBIシステム(Narrow Band Imagingシステム:狭帯域光観察)という2つの機能を組み合わせることで、優れた診断能を得ることができることが分かってきています。当院ではこのNBI拡大内視鏡や超音波内視鏡を用いて、食道癌の適切な診断・治療に努めています。治療面では食道癌の外科的切除や化学療法、放射線療法、および早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も行なっております。
また肝硬変の合併症のひとつであります食道静脈瘤は、内視鏡による定期的な経過観察と、適切な治療が必要です。当院では静脈瘤破裂の予防や、出血した際の緊急止血法として、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)、内視鏡的硬化療法(EIS)、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)などの治療を行なっております。
さらに、昨今の生活習慣病の増加に伴って、胃食道逆流症(GERD)が増加しております。胃食道逆流症の患者さんの中には、逆流性食道炎やバレット食道といった食道粘膜の異常をきたしている方もいらっしゃいます。当院では逆流性食道炎およびバレット食道の適切な内視鏡診断と治療に努めております。
胸やけ、胃液がこみ上げてくる感じ、口の中が酸っぱい感じなどの症状でお困りの方は、ぜひ当科の外来へ ご相談ください。
胃・十二指腸疾患 胃・十二指腸疾患
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 慢性胃炎
- 機能性ディスペプシア(FD)
- 急性出血性胃炎
- 胃癌
- 胃MALTリンパ腫
- 胃ポリープ
- 胃粘膜下腫瘍
- GIST
- 胃アニサキス症
「慢性胃炎(ピロリ菌感染胃炎)」について、保険適応での除菌療法が可能となりました。当院では以前より、多くの患者さんにピロリ菌除菌療法を施行してきました。今後もピロリ菌除菌療法を積極的におこなっていきます。内視鏡検査で病変がないのに、胃もたれや胃の痛みが長期にわたり続く「機能性ディスペプシア(FD)」については、治療が難渋する疾患です。各種薬剤の応用が進んでおりますので、当科の外来にご相談いただけますと幸いです。
胃癌については、学会のガイドラインに準拠して治療方針を決定しております。内視鏡治療可能な早期胃癌については、消化器内科と外科で協力し、全身麻酔あるいは静脈麻酔での内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行しております。胃粘膜下腫瘍、GISTといった、胃の粘膜下層、筋層などに発生する腫瘤性疾患に対して、最新の超音波内視鏡を導入して正確な診断を心がけています。胃MALTリンパ腫についても各種ガイドラインに沿って除菌療法、放射線、化学療法を施行しております。
消化管出血(出血性胃十二指腸潰瘍、静脈瘤破裂)については、救命センター開設とともに、毎日24時間緊急内視鏡を受け入れております。若年者の胃十二指腸潰瘍は明らかに減少しておりますが、抗血小板薬、抗凝固薬などを内服されている高齢者の方の消化管出血は増加しております。東京都内では夜間の消化管出血あるいは胆道系内視鏡治療に即対応できる医療施設が少ないため、都内各所からの搬送を受け入れております。
検診二次検査の内視鏡についても、受診後なるべく早く内視鏡が施行できるように体制を整えております。病診連携も積極的にすすめており、かかりつけの先生からの内視鏡検査も多数ご依頼いただいております。
小腸・大腸疾患 小腸・大腸疾患
- 大腸癌
- 腸閉塞(イレウス)
- 下痢
- 便秘
- 急性虫垂炎
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 感染性腸炎
- 虚血性腸炎
- 腸結核
- 腸型ベーチェット病
- 大腸憩室症
- 蛋白漏出性胃腸症
大腸疾患
大腸のポリープや早期癌に対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)・内視鏡的粘膜剥離術(ESD)を行っています。また、血便等、下部消化管出血が疑われる場合でも上部消化管出血と同様に24時間体制で内視鏡的止血術を施行しています。また、大腸癌に対しては術後に腫瘍内科と連携して標準療法である化学療法に加えて、分子標的療法の併用を行っております。
近年、増加している炎症性腸疾患に対しては内科的緩解導入を目指しおります。血球成分除去療法(CAP)や免疫調節剤、生物学的製剤等も経験豊富な医師の指示の下使用しております。
高齢の方で憩室を持っている患者さんが増えておりますが、さらに憩室炎を発症する方も多くなっております。当院では超音波で憩室周囲に軽度の炎症を認める軽症から中等症の憩室炎患者様に対しては、抗生剤の内服とスポーツドリンクのみ摂取可とした外来治療で対応可能です。
小腸疾患
原因不明の消化管出血に対する小腸の検査としてカプセル内視鏡が導入されており、24年7月からはクローン病を含む小腸疾患全般に適応拡大されております。カプセル内視鏡や小腸内視鏡の登場で小腸の検査が充実したことにより、小腸の病気が多く発見されております。小腸癌や小腸GISTなども診断後に手術が施行されております。これらは学会にも発表しております。
当院では前述のカプセル内視鏡に加えて、熟練した医師による小腸造影検査が可能であり、必要に応じてバルーン小腸内視鏡の施行も可能です(緊急の場合は慶應義塾大学病院へ紹介も行っております)。
肝疾患 肝疾患
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 肝細胞癌
- 脂肪肝
- 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
- アルコール性肝障害
- 自己免疫性肝炎
- 原発性胆汁性胆管炎
- 原発性硬化性胆管炎
- 薬剤性肝障害
- 肝膿瘍
- 伝染性単核球症
肝炎とは、肝臓に炎症が起こること、すなわち肝臓にリンパ球をはじめとする炎症細胞が浸潤し、肝細胞に障害を起こすことです。症状としては、発熱、黄疸、全身倦怠感などが認められますが、肝炎の病型、原因によって様々であり、時には全く自覚症状を認めないこともあります。肝炎の原因は様々であり、ウイルス、アルコール、薬物、自己免疫性、脂肪性肝炎などがあげられます。
近年、C型慢性肝炎に対する新規の抗ウイルス薬が開発され、治療効果の向上が認められています。当院でもこの抗ウイルス薬の投与を行っており、高い効果を認めております。詳しい適応症例、副作用等については、外来にてご相談ください。
また、慢性B型肝炎に対しても核酸アナログ製剤やインターフェロンによる抗ウイルス療法でHBV を減少させる治療を行っております。
区や市・会社の健診などでお酒を飲まないのに、「超音波で脂肪肝と軽度の肝機能障害」と指摘される方は多いのではないでしょうか。以前は良性の疾患として放置されることもありましたが、近年の研究で、そのような患者さんの中に肝臓に炎症を伴い線維化が進行し肝硬変まで進展する方がいる事が分かってきています。健診などで脂肪肝や肝機能障害を指摘された場合、一度は外来を受診されご相談されることをおすすめ致します。
肝臓は『眠れる臓器』と言われ、症状がなかなか現れにくいと言われています。肝臓病の診断・治療法もその原因によって異なりますので、まずは消化器内科外来にお問い合わせ下さい。
また、当科では、外科及び放射線科とのカンファレンスを通じ肝細胞癌の診断から治療まで行っています。3科で相談の上で手術、ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術から方針を決定します。ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術については当院消化器内科に入院の上で、熟練した放射線科の専門医が施行します。クリニカルパスを導入しており、ラジオ波焼灼術は5日間、肝動脈塞栓術は8日間と短期間の入院となっております。
胆・膵疾患 胆・膵疾患
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 膵癌
- 胆嚢結石・胆嚢炎
- 総胆管結石・胆管炎
- 胆嚢癌
- 胆管癌
急性膵炎
飲酒をしたあとに急に出現する強いみぞおちの痛み・圧痛は急性膵炎(アルコール性膵炎)の可能性があります。急性膵炎の治療の基本は、膵臓が壊死しないように大量の点滴を行うことになります。膵炎が重症化し、壊死性膵炎や臓器不全を伴うと死亡率が高く、外科的治療や血液浄化療法等の集中管理が必要となるため、外科医や透析医と連携を取りながら治療を進めます。飲酒のほかに多い原因として、胆石による膵炎(胆石性膵炎)があります。胆石性膵炎に対しては、内視鏡治療の適応(胆管炎や閉塞性黄疸の合併)があれば速やかに内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)を行い、胆管内の胆汁の排泄をうながす処置(ドレナージ)や、結石を除去する治療を行います。また、再発予防のため待機的に胆嚢摘出術をお勧めしています。長期に膵臓に炎症が持続すると慢性膵炎となり、膵臓におけるインスリンなどのホルモン分泌(内分泌)機能や消化酵素の分泌(外分泌)機能が低下します。また、膵臓に結石(膵石)ができることで、痛みや炎症の悪化がみられる場合には、体外衝撃波による膵石粉砕術(ESWL)や内視鏡的膵管切石術(PDL)が適応となる可能性があるため、大学病院を御紹介しております。
胆嚢結石・胆嚢炎
健康診断などで偶発的に発見される、症状のない胆嚢結石に関しては定期的な超音波検査での経過観察をお勧めしています。右の脇腹に強い痛みが出現する胆石発作や、細菌感染をきたした胆嚢炎となった場合には、内科的治療と並行して緊急、あるいは待機的に胆嚢摘出術を検討します。黄疸、重篤な局所合併症(胆汁性腹膜炎、胆嚢周囲膿瘍、肝膿瘍)、胆嚢捻転症、気腫性胆嚢炎、壊疽性胆嚢炎、化膿性胆嚢炎、あるいは血圧や呼吸状態の不安定な重症の胆嚢炎の場合は、皮膚に局所麻酔をおこない超音波装置やレントゲンで確認しながら経皮的に胆嚢穿刺(胆嚢ドレナージ術)を施行し炎症を治めます。その後、可能な限り炎症を沈静化した上で、消化器外科とも相談の上で胆嚢摘出術を行います。
総胆管結石・胆管炎
総胆管結石などによる急性胆管炎は、繁殖した細菌が全身の血流に移行してしまう菌血症を合併する確率が高く、重症化すると数時間単位でも致命的になる場合があるため、緊急の内視鏡処置や全身管理の必要な病態です。そのため胆嚢内の結石とは異なり、症状がある場合はもちろん、無症状の場合でも、原則は治療の適応になります。内視鏡による治療法が確立してからは、内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)が第一選択となっています。またかつては治療困難であった消化管の手術後の方も、特殊な内視鏡を使用することで治療が可能となってきました。
膵癌・胆道癌(胆嚢癌、胆管癌)
外科手術の適応内であれば、精査をした上で手術治療を検討していきます。外科的切除が困難な場合には化学療法を行います。また、膵癌・胆道癌では胆道狭窄に起因する閉塞性黄疸や胆管炎を合併することがあるため、内視鏡的または経皮的に胆管ステントを留置する処置が必要になる場合があります。癌治療は身体に関する問題や生活の支障をきたすことがありますが、腫瘍内科とともに、患者さんの環境やご要望を相談しながら治療および療養を進めていきます。
内視鏡検査(緊急内視鏡を含む) 内視鏡検査(緊急内視鏡を含む)
当院は非常に多くの救急患者を積極的に受け入れているため、急性の腹痛、消化管出血の患者さんに対するスタッフの診療経験は豊富です。入院後早期に診断、処置を行います。ちなみに2017年の1年間に施行された上部消化管内視鏡検査は5,961件、下部消化管内視鏡検査は2,970件で、特に下部は3年前と比較して30%以上件数が増加しております。緊急内視鏡も約400件と著明に増加しており、そのうち消化管出血で内視鏡治療で止血がえられず外科的手術に移行した例はいずれも基盤に合併症を有する2例のみでした。 また、緊急胆道ドレナージを含めた胆道内視鏡も年間約300件と著明に増加しております。
IBD・漢方・便秘外来について IBD・漢方・便秘外来について
診療曜日、時間
第1・3水曜日 13:30〜 ※完全予約制です。
場所
内科外来
担当医師
中澤 敦(消化器内科)
対象
他院で炎症性腸疾患が疑われて紹介状をお持ちの方
以前、他院で炎症性腸疾患と診断されている方
胃痛、便秘、下痢などの消化器症状があり、漢方的な診療を希望される方
クリニカルパスのご紹介 クリニカルパスのご紹介
当院は一部の疾患、手術、検査でクリニカルパスを使用しています。
クリニカルパスとは、医療スタッフと患者さんが治療計画の情報を共有するため、患者さんのスケジュールを時間軸に沿ってまとめたものです。
主な治療について、公開していますのでご参照ください。
※患者さんの治療経過の状況によって、スケジュールは変更する場合があります。