認知症医療

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認知症に関するさまざまな相談をお受けするため、認知症に関する専門知識・経験を有する専門相談員(精神保健福祉士)を配置しております。

ご本人、ご家族、介護・福祉関係機関(高齢者相談センター、区役所など)からの認知症に関する医療・介護・福祉などの相談に電話あるいは面接で対応いたします。必要があれば適切な医療機関のご紹介を申し上げます。

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もの忘れと認知症の違い もの忘れと認知症の違い

誰でも歳を重ねるともの忘れはするものです。うっかり「ど忘れ」することは誰にでも起こることです。
認知症は何らかの原因により、進行性に認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす病気です。

加齢によるもの忘れと認知症の主な鑑別点を記します。

加齢によるもの忘れ

  • 体験したことの一部を忘れる
  • もの忘れの自覚がある
  • もの忘れはあまり進行しない
  • ヒントを与えると思い出す
  • 日常生活への支障はない

認知症

  • 体験したこと自体を忘れる
  • もの忘れの自覚が乏しい
  • もの忘れが徐々に進行する
  • ヒントを与えても思い出さない
  • 日常生活への支障がある

認知症の症状 認知症の症状

認知症の症状は、中核症状と行動・心理症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に大別されます。

中核症状はその名の通り認知症の中核をなす症状です。初期には目立たない症状も進行とともに明らかになってきます。それに対して行動・心理症状は環境要因や元来の性格などが影響して出現します。行動・心理症状は介護を困難にする要因となりますが、適切に対応することで症状を軽減させることができます。

中核症状

  • 記憶障害
    新しく物事を覚えられないため、同じことを何回も聞くようになります。置き忘れやしまい忘れも多くなります。
  • 見当識障害
    日付、時間、場所に関して分からなくなります。
  • 実行(遂行)機能障害
    物事の段取りを立てたり、計画を立てたりすることが苦手になります。結果として仕事や家事などでミスをすることが多くなります。
  • 失語
    物や人の名前が出てこなくなり、「あれ」「それ」などの代名詞が多くなります。
  • 失認
    視力は問題ないのに、見ている物や顔が正確に認識できなくなります。このため、自分のいる場所が分からなくなったり、知っている人の顔が分からなくなったりします。
  • 失行
    麻痺はなく手足の動きは問題ないのですが、道具を使うことが苦手になります。箸を使って食事をすることが困難になったりします。洋服を着ることが難しくなることもあります。

行動・心理症状

  • 幻覚
    部屋の中に小動物や虫が見えたりする幻視が多いです。聞こえるはずのない声や会話が聞こえてくる幻聴を訴えることもあります。
  • 妄想
    「財布を盗られた」などの物盗られ妄想が代表的です。
  • 不安・焦燥
    何かに対して過剰な不安を示し落ち着かなくなります。一人になることを嫌がり、誰かに常に側にいて欲しいと訴えるようになります。
  • 不眠
    夜眠れなくなり、逆に日中寝ることも多くなります(昼夜逆転)。
  • 意欲低下
    活気が無くなり、様々なことに対する関心が消失します。
  • 興奮・暴言・暴力
    怒りっぽくなり、大声を出したり、時には暴言・暴力に発展することもあります。
  • 徘徊
    夜間に多く認められ、家の外に出かけて道に迷うこともあります。

認知症の原因 認知症の原因

認知症の4大疾患と言われている病気は下記の通りです。

 

アルツハイマー病
認知症の原因として最も多い病気です。発症にはアミロイドβという蛋白質が関与していると考えられています。 記憶障害や見当識障害からはじまり、徐々に進行していく経過を辿ります。

 

レビー小体型認知症
脳に「レビー小体」が出現することが特徴の認知症です。同様にレビー小体が関連する病気にパーキンソン病があります。このため、パーキンソン症状(動作がゆっくりとなる、歩行が小刻みになる、体が固くなるなど)の出現が認められます。
発症初期には記憶障害が目立たないことも多いのですが、症状が動揺して「良い日もあれば悪い日もある」というような経過を認めます。幻視が高頻度に認められることも特徴です。

 

血管性認知症
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を原因とする認知症です。たった1回の小さな脳梗塞で認知症が発症することもありますし、自分でも気づかない間に多発性に脳梗塞や脳出血が起こっていて認知症を発症することもあります。 脳梗塞や脳出血を起こさせないように、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの管理を行うことが重要となります。

 

前頭側頭型認知症
発症当初には記憶障害は目立たないのですが、性格変化や常同行動(決まった時間に決まった行動をする)などで気付かれる場合があります。周囲の人の気持ちを考えなくなり、「わが道を行く行動」を示すようになります。本人は病識がないことが多いため、病院になかなか受診しようとしないことも少なくありません。

治る認知症

この他に重要なことは「治る認知症」を見逃さないことです。「治る認知症」の原因には下記のような病気が挙げられます。

 

脳神経外科疾患
慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍など

 

感染症
神経梅毒、脳炎など

 

内分泌・代謝疾患
甲状腺機能低下症、肝機能障害、腎機能障害、糖尿病など

 

ビタミン欠乏
ビタミンB1欠乏(Wernicke脳症)、ビタミンB12欠乏など

 

精神科疾患
うつ病など

 

薬剤
抗精神病薬、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、ステロイド、抗腫瘍薬など

 

その他
てんかんなど

認知症の検査 認知症の検査

認知症を正確に診断するために、複数の検査を行います。

 

頭部MRI
脳の萎縮の場所や程度、脳梗塞・脳出血の有無などを調べます。

 

脳血流シンチグラフィー
認知症をきたす病気によって脳血流が低下する部位が異なります。脳血流の状態を調べることで診断の一助とします。

 

血液検査
肝機能や腎機能、甲状腺機能、ビタミンの欠乏などを調べます。

 

神経心理検査
臨床心理技術者により、記憶力や注意力などの認知機能に関して時間をかけて調べます。

 

心筋MIBGシンチグラフィー
レビー小体型認知症では心臓の自律神経の働きが低下していることが知られており、それを調べる画像検査です。

 

ドパミントランスポーターシンチグラフィー
レビー小体型認知症で少なくなることが知られている、脳のドパミントランスポーターを調べる画像検査です。

認知症予防 認知症予防

認知症の予防は、大きく分けて3つに大別されます。

 

一次予防
認知症にならないための予防

 

二次予防
認知症を早期に発見し、重症化しないように治療すること

認知症の進行を遅らせるための予防

 

三次予防
認知症の周辺症状を軽減し生活の質を維持・向上すること

 

認知症予防の取り組みでは、薬物療法と非薬物療法がありますが、薬物療法は二次予防と三次予防に効果的とされています。
一方、非薬物療法はすべての予防に適応となり、特に定期的な運動は認知症予防に推奨されています。
認知症予防に対する運動のポイントは、運動と同時に脳を使う課題を楽しく行うことです。

お問い合わせ お問い合わせ

当センターよりご希望のテーマに沿った専門職スタッフの派遣も行っております。
勉強会や研修会、講演会の講師に加えて、実践的な介護相談、認知症予防プログラムの開催、認知症の方との接し方のレクチャーなどの出張も可能です。
お気軽に当センターの相談窓口までお問い合わせください。

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